日向”ひなた”のまち ―――

日向市駅に降り立つと、まず特産の日向杉をふんだんに使用したホームの屋根に目を惹かれます。
また、高架下のコンコスにも使われ、市の玄関口である駅舎から木材の優しさと温かさが伝わってきます。 日向市では、農林水産課長補佐の荻原さんにご案内をお願いしました。

最初に、日向市について教えてください。
「日向市は宮崎県の北東部、日向灘を東に臨み、日照時間や快晴日数が全国トップクラスで温暖な気候に恵まれたまちです。また、降水量も多く良質な水資源にも恵まれています。特産物もすだちに似た平兵衛酢がブランド化され注目を集めており、カツオの船曳縄などの漁業も盛んです。お祭りでは、豊作を祝い、また商売繁盛の踊りとされている“日向ひょっとこ踊り”が有名です。」

ひょっとこ踊りの他に、歴史や文化財で
日向市を代表するものを紹介してください。

「江戸中期から交易港として栄えた美々津地区の町並みは日向市を代表する文化財です。美々津は日向市の最南端にある地区で、江戸時代には参勤交代の御出船、御入船の港に指定されていたほか、大阪へ木材などを出荷する廻船業で栄えていました。このため、古くからの白壁土蔵の町並みが残っており、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。また、日本書紀に描かれる神武天皇の御船出伝説地でもあります。」

大海原に臨む絶景 ―――

太平洋へと続く日向灘に沿った海岸線は、
変化に富んだ地形が印象的ですね。

「日豊海岸国定公園の南端に位置し、リアス式海岸と白砂青松の砂浜が続く海岸線は、北から日本の快水浴場百選の“伊勢ヶ浜”、次に日本の渚百選の“お倉ヶ浜”、そしてサーフィンのメッカとして全国的に知られている“金ヶ浜”の順に広がっています。
また、これらの北部には“馬ヶ背”や“願いが叶うクルス(十文字)の海”といった優れた景観があります。また北部には細島港があり、港湾工業都市としての一面も持っています。」

それでは、日本の渚百選であります“お倉ヶ浜”の特徴について教えてください。
「“お倉ヶ浜”は延長約4`の海岸で、北から塩見川、赤岩川、吉野川の大小3本の河川が流れ込んでいます。また、日本で唯一のスワブテ蛤(ハマグリ)の産地です。」

両脇の伊勢ヶ浜やお金ヶ浜では蛤は獲れないのですか。
「不思議なことに獲れません。面白い民話があって、昔々、二人の老婆が別々の浜で蛤を獲っていました。そこへ一人の僧が通りかかり『蛤は獲れますか?』と尋ねたところ一人の老婆は『石ころばかりで…』と嘘を答えましたが、もう一人の老婆は『はい、この通りたくさん』と答え、僧に分け与えました。以来、不思議なことに『石ころばかりで…』と答えた欲深いお金のいた浜(お金ヶ浜)では蛤が獲れなくなり、蛤を分けたお倉のいた浜(お倉ヶ浜)は蛤の絶えることがないというものです。」

スワブテ蛤の他に“お倉ヶ浜”に生息する動植物を紹介してください。
「日向市の海岸には鳥類や昆虫など絶滅危惧種を含め多種多様な生態系を見ることができますが、代表的なのは毎年5月から8月にかけて、産卵のため上陸してくるアカウミガメです。日向市の砂浜は高潮によって浸食されないため繁殖地として好適な場所のようです。」

アカウミガメに対して、日向市ではどのような取り組みをされていますか。
「日向市ではアカウミガメとその産卵地を天然記念物に指定しています。また平成15年に創設された“日向市アカウミガメ研究会”と協力して産卵調査などを行っています。研究会では小学校やこども会をはじめ、市民を対象とした教室を開催し、知識の普及に努められています。」

山・川・海を繋ぐ ―――

 最後になりましたが、ウミガメの他に環境保全について、
どのような取り組みをされていますか。

  「お倉ヶ浜に限らず全ての海水浴場で毎年7月に日豊海岸クリーン作戦を実施するほか、台風の後には海岸に打ち上げられた上流からの大量の流木を撤去しています。
上流は林業の盛んな地域なので、重機を使用するほどの大きさと量の流木ですが、景観を損なわないために出来る限り撤去しています。
場合によっては、次の台風で海に流されて砂浜はきれいになることもありますが、海底に沈むだけで今度は漁場環境が悪化してしまい、結果として漁業に大きなダメージを受けてしまうため撤去は必須です。」

 何本もの河川が流れ込む日向市の海岸には避けて通れない
流木の問題ですが、今後の取組みについてはどう考えられていますか。

  「山間地域の環境変化が河口流域の問題に派生しているのではないかと推測されてます。最近、海岸の問題は山林の問題として漁師も山林の環境に関心を持ち始めていますので、下流の人は上流に、上流の人は下流に相互に関心を持つこと、そして山・川・海は繋がっているという視点を持って行動に移すことがこれからの課題だと思います。」

山から海へ、海から山へ。山と海を繋ぐ川という架け橋を渡り、
地域を飛び出した住民活動がいま始まろうとしています。

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日本の森・滝・渚全国協議会 会報
「百選賛美」創刊号

-編集・発行- 日本の森・滝・渚全国協議会
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-発行日- 
平成20年3月