錦江湾と桜島のパノラマ ―

加治木町は、鹿児島市から北へ約25`、薩摩半島と大隅半島の分かれ目辺りにあり、南下に広がる錦江湾を挟んで雄大な桜島が見渡せます。
  加治木町では、商工観光係長の岩下さん、係員の中西さんにご案内をお願いしました

最初に、加治木町について教えてください。
  「加治木町は、鹿児島空港まで約15分、九州自動車道、東九州自動車道、国・県道などの整備も進み、またJR日豊本線が走るなどアクセス面では快適な環境にあります。
ちなみに、数十年前から小学校の教科書に『大造じいさんとガン』という物語が掲載されています。
  作者の椋鳩十は日本で初めて本格的な動物文学のジャンルを切り開いた作家で、約20年間加治木町に在住し活動していました。
町では平成2年に記念館を開館し、多くの遺品を展示しています。」

 

鹿児島といえばシラス台地を利用した サツマイモや大根の
栽培が有名ですが、加治木町の特産品は
どのようなものがありますか。
「加治木町はニンジンが特産品で、地産地消の取り組みの一環として学校給食にも積極的に使用しています。一方、ドレッシングやジャム、ジュースなどに加工したものを全国に出荷し、大変人気を得ています。それと昔から親しまれている加治木まんじゅうも人気があります。」

加治木町には島津氏に縁のあるものが多く残っていると
お聞きしますが、どのようなものがありますか。

「毎年6月に開催される“くも合戦”と伝統工芸品の“龍門司焼”のことですね。“くも合戦”は、島津氏が朝鮮に出兵した文禄・慶長の役の際、陣中で兵士を元気づけ、励ますために“こがねぐも”のメスを集めて戦わせたのが始まりとされています。出場者はくもを遠く町外まで出かけて採集し、訓練するほど本格的です。また、“龍門司焼”は朝鮮から引き上げる際に陶工を連れ帰ったのが始まりで、薩摩焼を代表する焼物として現在に受け継がれています。」

瀑布 竜門の瀑を見るが如し ―――

それでは、日本の滝百選の龍門滝について紹介してください。
  「龍門滝は高さ46メートル、幅43メートルで町の中心部から約500メートルの位置にあります。名称は、唐人がこの滝を見て『漢土の龍門の瀑を見るが如し』と言ったことに由来します。日没から午後10時半までライトアップしています。」

龍門滝の付近では自然環境に配慮してどのような保全活動をされていますか。
「主な活動としては清掃、水質保全、環境学習が挙げられます。
まず清掃活動では、地元の方による自主的な日々の清掃のほか、九州電力と町の観光協会がタイアップして、毎年11月に龍門滝周辺の樹木の枝払いや草払い、空き缶拾いなどの清掃作業に取り組んでいます。特に、滝の両岸は急斜面のため九州電力の高所作業車が頼りです。この取り組みは日本の滝百選を機に平成2年から始まったもので、今年度は65人が参加しました。

次に水質の保全活動ですが、滝の上流には水田地帯が広がっており、大きな工場もないので河川環境は良好です。しかし、滝の下流域では住宅化による水質汚濁が進んできたので、河川や水路の中から23地点を選び、灌漑期(7月)と非灌漑期(11月)の2回水質検査を実施しています。検査結果は広報誌で公表し、水質の保全を呼びかけています。

三つ目の環境学習では、地元有志による“まちづくり協議会”が、川遊びを通して自然を体感し、環境保全の大切さを理解してもらおうと、毎年夏休み期間中、小中学生を対象に龍門滝下流で「川で遊ぼう」と題した環境学習会を開催しています。平成19年は約40名が参加し水生生物の観察や生態を学ぶ環境学習を開催しています。」

苔むす石畳に刻まれた歴史

龍門滝の近くに、苔むした石畳と杉木立が
歴史を感じさせる史跡がありますね。

「ここは、龍門司坂といいます。平成8年には文化庁が選定した『歴史の道百選』に定され、平成18年に国の文化財指定を受けました。石畳敷きで平均幅が約4b、最大幅は7bで全長は約1500bあったとされていますが、現在は約460bが当時の状態で残されています。薩摩藩が物資の輸送や参勤交代のために開いた街道で、当初は石が敷かれてなかったのですが、粘土質の土壌で滑りやすいため、石を敷いて歩きやすくしました。また、西南戦争では西郷隆盛がこの道を通って熊本へ向かっています。」

この龍門司坂に関連した町民活動がありますか。
「“かぢき披露芽隊”では、龍門司坂が国の文化財指定を受けたことや、大河ドラマ「篤姫」のロケ地に選ばれたことなどを契機に、龍門滝周辺の環境整備や入込客の増加を図るため龍門滝を基点とした『第1回龍門司坂ろまんウォーク』を平成19年11月に開催しています。なお、このイベントの運営資金には団体で作成した絵はがきの売り上げを充てるなど自立した運営に取り組まれていて、今後も積極的な活動が見込まれます。」

まちのシンボル“龍門滝”が核になり、史跡などの周辺環境と一体化したまちづくりが
住民の手によって、一歩一歩進められています。

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日本の森・滝・渚全国協議会 会報
「百選賛美」創刊号

-編集・発行- 日本の森・滝・渚全国協議会
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-発行日- 
平成20年3月